あさひ総合病院 栄養科 山下 玉希 管理栄養士
「最近よくむせる」「飲み込む際に苦労する」などの症状を自覚することはありませんか。もしかするとこれらは「摂食嚥下障害」によるものかもしれません。
摂食嚥下とは、食べ物を認識してから咀嚼し飲み込むといった一連の動作であり、摂食嚥下障害は加齢や疾患、認知機能の低下などが原因で起こる障害です。摂食嚥下障害により、食事がうまくとれないために体重が減る、低栄養や脱水になる、飲み込んだものが気管に入り肺炎を起こす(誤嚥性肺炎)などの可能性もあるため注意が必要です。高齢化が進む中、今後も増えていくと予想されます。
摂食嚥下障害を予防するためには、嚥下レベルに合わせた食事を摂ることが大切です。噛み砕きにくいものは細かく切ったり、飲み込みにくいものはとろみをかけたりペースト状にするなど、飲み込みやすい食事にしましょう。また、食後の歯磨き、入れ歯の洗浄など口の中を清潔に保つことも大切です。口腔ケアができていないと、口の中の細菌が繁殖して歯周病や誤嚥性肺炎になるリスクが高まります。
当院では、「食べること・飲み込むこと」が困難になった患者さんをサポートするため多職種でチームを組み活動しています。患者さんの口の中の衛生状態をチェック・評価し、患者さんにあった口腔ケア・食事形態・訓練などをスタッフと情報共有しています。私たち管理栄養士は、患者さんの摂食機能に適した食事形態の調整や、在宅に戻られたときの環境に配慮した食事の支援をさせていただいています。
「食」は生活するうえでの楽しみの一つであり、食べられないことでの栄養不足は、身体機能の低下を招き、楽しみであったはずの食事もストレスになることがあります。一律に考えるのではなく、個々の状況、本人や周囲の想いを汲み、支援者の一人として関わっていきたいと思います。
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