あさひ総合病院　院長　東山　考一　

　あけましておめでとうございます。

　今年も新型コロナで、そしてインフルエンザで新年を迎えました。これからの季節、引き続き感染症に注意することはもちろん必要ですが、他にも健康を害する危険が潜んでいます。その一つが入浴にまつわる事故です。消費者庁の発表によりますと近年の高齢化とも相まって入浴中の死亡者数がここ数年５,０００人前後と増加がみられます。これは高齢者の年間の交通事故死者数を上回っています。特に寒さの厳しくなる冬場に増加しています。主な誘因としては、寒暖の差が指摘されています。寒い脱衣所や洗い場から熱いお湯につかる、あるいは逆に熱い浴槽から寒い脱衣所に出るといった状況です。寒暖の差が血圧の急激な上昇や低下をもたらし、脳出血、心筋梗塞、脳貧血等が起こる危険性があり浴槽内で溺死するケースも見られます。

　入浴中の事故を予防するためのポイントをご紹介しますと、入浴前には脱衣所を温め温度差をできるだけ小さくすること、飲酒はせずに水分を摂ること、家族に声をかけてから入浴することです。そして入浴中は、お湯の温度は４１℃以下にして、つかる時間は１０分までにする、浴槽を出る際には急に立ち上がらないこと等が大切です。

　どうぞ参考にしていただければ幸いです。