あさひ総合病院 耳鼻咽喉科医師 藤坂 実千郎
認知症につながるリスクが高いとされる難聴の早期発見につなげようと、朝日町は検診車を地域に派遣し聴力検査を行う事業を今年度から始めることが、新聞・テレビで報道されました。最近、フレイルという言葉を耳にされると思います。日本老年医学会が提唱した学術用語ですが、加齢によって心身の機能が低下し、健康と要介護の中間、つまり虚弱な状態のことです。
このフレイル対策を町ぐるみで進めている朝日町は、難聴によるヒアリングフレイルの対策として上述の事業を開始することとしました。あさひ総合病院や補聴器業者と連携し、がん検診など高齢者を中心とした住民が集まる場所で聴力検査を行い、難聴の早期発見や医療機関の受診といった適切な支援を行うことが目的です。
難聴者の対策として挙げられるのが、補聴器装用です。高度難聴(身体障害者)であれば全国一律で補聴器購入に対する助成金が支給されますが、18歳以上で高度難聴に該当しない場合、助成制度を実施している自治体は全国市区町村1,747のうち390、富山県においても一部の自治体のみです。朝日町も町ぐるみでヒアリングフレイル対策を進めながら、今後、助成制度についても検討いただき、聞こえの低下に早めに気づき、適切な対策が行われるよう期待しております。
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